卒FITの再エネ電力確保に向けた各社の動き、2023年までに130万件以上が新たなサービスに移行
| 政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
一般社団法人エネルギー情報センター

卒FITの市場規模として、件数ベースでみると、2019年〜2023年合計では少なくとも130万件、最大で210万件程度になると推測されます。これらの卒FIT電源を確保するため、各社が様々なサービスを提供しており、それらサービスの特徴を見ていきたいと思います。
2019年以降順次、買取期間の満了をむかえる太陽光発電
これまでの日本の再エネ普及を歴史的にみると、補助金による導入支援から始まり、2003年からはRPS制度が開始、そして太陽光の余剰電力買取制度(2009年~2012年)の後を受けて、2012年7月からFIT制度が創設されました。
この内、2009年に開始された買取制度は、太陽光発電で作られた電力のうち、余剰電力が買取対象となる制度です。10年間の買取期間が設定されており、2019年以降順次、買取期間の満了をむかえることになります。
買取期間が終了した電源については、法律に基づく電力会社の買取義務はなくなります。ただし、①自家消費 、または②相対・自由契約で余剰電力を売電することにより、引き続き太陽光発電のメリットを享受できます。
10電力会社は、こうした卒FITの太陽光発電につき買取を実施すると表明しており、概ね4~6月に具体的な内容を公表する予定です。また、10電力会社以外にも、新電力会社が卒FIT電源を買い取ると表明しており、太陽光発電のオーナーは、高価な価格で売電できる事業者を選択することができます。
価格については、法律に基づく買取制度による単価(24~42円/kWh)よりも大幅に下がることが想定され、各新電力会社等の発表によると、当初は8円/kWh前後になる可能性が高いと考えられます。
10電力会社による買取メニューの公表予定時期
- 北海道電力:6月
- 東北電力:6月
- 東京電力:6月
- 中部電力:4月
- 北陸電力:4月
- 関西電力:4月
- 中国電力:4月
- 四国電力:4月
- 九州電力:5〜6月
- 沖縄電力:6月
卒FIT電源の確保に向けた各社の取り組み・動き
卒FITの市場規模として、件数ベースでみると、2019年〜2023年合計では少なくとも130万件、最大で210万件程度になると推測されます(表1)。これらの卒FIT電源を確保するため、各社が様々なサービスを提供しており、下記にてそれらサービスの特徴を見ていきたいと思います。
スマートテック、早い段階から卒FITサービスを実現
最も早い段階で卒FITサービスを形にした企業と考えられるのが、スマートテックです。2018年6月26日に「卒FIT」住宅太陽光向け買い取りサービス「スマートFIT」を開始したと発表しました。東北、関東、中部、近畿、中国、九州エリアを対象としており(離島を除く)、買取価格は、2019年度および2020年度にFIT切れする世帯で10円/kWhです。買取期間は2年間保証となっており、2021年度以降にFIT切れする世帯については、12~42円/kWhにて提供する予定としています。
シェアリングエネルギー、蓄電池のEC販売との連携
シェアリングエネルギーは2018年11月1日、「卒FIT」住宅太陽光向けサービス「シェアでんき卒FIT」を開始したと発表しました。太陽光の余剰電気を買い取る「余剰電力の買取」と、インターネットを活用した「蓄電池のEC販売」の2つのサービスを提供する点が特徴です。余剰電力を1kWhあたり8円/kWhで買い取るもので、買取期間は2年間保証となっています。東北・関東・中部・近畿・中国・九州の各エリアの先着1000棟が対象となっています(離島を除く)。
積水ハウス、同社のオーナー向け高価格サービス
積水ハウスは2019年1月31日、太陽光発電の余剰電力を買い取る「積水ハウスオーナーでんき」を発表しました。同社の住宅オーナーを限定としたサービスであり、対象者は限られるものの、11円/kWhという高水準な価格設定が特徴です。買取った電力は「RE100」の達成のために、積水ハウスグループで有効活用するとしています。3月から事前申し込み受け付けを始め、11月から事業を開始します。
昭和シェル石油とソーラーフロンティア、全国対応の体制構築
昭和シェル石油とソーラーフロンティアは2019年2月28日、卒FIT太陽光の余剰電力買い取りサービスの事前登録受付を開始したと発表しました。買取価格は九州エリアが7.5円/kWh、その他のエリアが8.5円/kWhと設定されており、日本のほぼ全てのエリアをカバーしていることが特徴です(沖縄・離島を除く)。原則として、昭和シェル石油の電気プランを契約している需要家を対象としたサービスであり、実際の買い取りは、買取期限の切れる11月からとなります。
買取期間満了予定件数(2019年〜2023年)
| 件数(2019年〜2023年合計) | |
|---|---|
| 北海道 | 12,400~43,900 |
| 青森県 | 4,200~13,500 |
| 岩手県 | 12,000~26,300 |
| 宮城県 | 24,100~42,200 |
| 秋田県 | 2,200~9,200 |
| 山形県 | 5,700~15,700 |
| 福島県 | 21,200~41,400 |
| 茨城県 | 36,800~67,500 |
| 栃木県 | 33,600~52,000 |
| 群馬県 | 33,600~52,300 |
| 埼玉県 | 73,200~118,600 |
| 千葉県 | 56,400~92,600 |
| 東京都 | 58,000~95,600 |
| 神奈川県 | 64,000~65,300 |
| 新潟県 | 6,900~16,100 |
| 富山県 | 6,300~13,200 |
| 石川県 | 5,300~12,700 |
| 福井県 | 5,400~12,800 |
| 山梨県 | 14,800~27,600 |
| 長野県 | 41,000~74,400 |
| 岐阜県 | 28,700~51,900 |
| 静岡県 | 67,200~91,800 |
| 愛知県 | 100,500~143,800 |
| 三重県 | 28,500~46,500 |
| 滋賀県 | 25,400~40,000 |
| 京都府 | 21,400~36,900 |
| 大阪府 | 59,300~90,100 |
| 兵庫県 | 58,800~88,100 |
| 奈良県 | 14,700~30,400 |
| 和歌山県 | 12,600~25,700 |
| 鳥取県 | 5,900~13,100 |
| 島根県 | 7,600~14,700 |
| 岡山県 | 37,000~53,200 |
| 広島県 | 45,300~61,000 |
| 山口県 | 24,800~37,700 |
| 徳島県 | 9,000~19,500 |
| 香川県 | 15,000~24,600 |
| 愛媛県 | 20,100~31,300 |
| 高知県 | 8,300~19,100 |
| 福岡県 | 59,700~96,800 |
| 佐賀県 | 17,000~29,600 |
| 長崎県 | 21,300~34,100 |
| 熊本県 | 34,500~58,700 |
| 大分県 | 21,300~33,600 |
| 宮崎県 | 23,900~37,900 |
| 鹿児島県 | 28,000~46,300 |
| 沖縄県 | 10,100~24,700 |
| 合計 | 1,323,000~2,174,000 |
表1 買取期間満了予定件数(2019年〜2023年) 出典:経済産業省資料より作成
卒FITに向けた新会社設立の動き
卒FITの動向を見据え、会社間の連携や新会社設立の動きが相次いでいます。下記にて、卒FITに向けた新会社設立の事例を見ていきたいと思います。
メディオテック、ブロックチェーンでJEPX価格連動の買取
メディオテックは、ブロックチェーンやAIなど最先端IT技術を駆使した次世代電力サービスを提供するため「株式会社ダイレクトパワー」を2018年9月に設立したと発表しました。同社によると、ブロックチェーンを利用し、卒FIT電気を30分毎に変動するJEPXの仕入れ価格と連動した価格で買い取る予定としています。2017年度の平均仕入れ価格(関東システムプライス)は10.15円であり、この仕入れ価格に可能な限り近い価格で買い取りができるよう調整が行われています。なお、サービスの開始予定は2019年春となっています。
丸紅新電力とパネイルが「丸紅ソーラートレーディング」を設立、代理店希望者など受付
丸紅新電力とパネイルは、卒FIT向けサービスを提供する新会社「丸紅ソーラートレーディング」を2018年11月7日に共同設立したと発表しました。同社の公式ホームページにて、代理店希望者および買取サービス希望者の事前受付を開始しています。
卒FITに向けた新サービス
各企業が自社独自の強みを生かし、卒FITに向けたサービスを開発しています。下記にて、卒FITに向けた新サービスの事例を見ていきたいと思います。
リミックスポイント、余剰電力を集約・活用する新しいエネルギー管理サービスを模索
リミックスポイントは2018年11月15日、「卒FIT」太陽光の余剰電力を集約・活用する新しいエネルギー管理サービスの策定を開始したと発表しました。リミックスポイントがIoTを活用したVPPを構築し、一般家庭や電力需要家、アグリゲーター、太陽光発電メーカー、蓄電池メーカー、自動車メーカーなどを巻き込み「エネルギーコンソーシアム」を構築するとしています。
ネクストエナジー、蓄電池にAIを附帯
卒FITにより蓄電システムの需要が急速に伸びていくと想定されます。こうした中、ネクストエナジー・アンド・リソースは2018年11月20日、自社ブランドのリチウムイオン蓄電システム「NX3098」シリーズに、AI(人工知能)制御サービスを付帯して販売開始すると発表しています。AI蓄電システムが日々の電気の使い方を学習し、ライフスタイルに合わせて充放電を最適にコントロールするものとなります。
「卒FIT」太陽光の買取サービスを提供する企業を支援するサービス
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
| 企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
|---|---|
| 所在地 |
〒160-0022 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
| 電話番号 | 03-6411-0859 |
| 会社HP | http://eic-jp.org/ |
| サービス・メディア等 |
https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年06月29日
【第3回】再選トランプ政権の関税政策とエネルギー分野への波紋 〜素材・鉱物資源の安定確保とサプライチェーン強靭化を巡る論点〜
2025年4月、再選トランプ政権が発動した「相互関税(Reciprocal Tariff)」政策は、日本のエネルギー分野にも引き続き多方面の影響を及ぼしています。 第1回では制度発足の背景と太陽光・LNG・蓄電池への直接的影響を整理し、第2回では企業・自治体の現場対応と政府の制度支援の動向を追いました。本稿は最終回として、これまでの影響がさらに素材・鉱物資源というサプライチェーンの川上分野にどのように波及し、どのような実務課題を生んでいるのか整理します。エネルギー安全保障・経済安全保障双方の観点から、素材確保戦略がいよいよ重要局面に入りつつあります。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年06月26日
【第2回】再選トランプ政権の関税政策とエネルギー分野への波紋 〜日本企業・自治体の現場対応から読み解く実務課題と展望〜
2025年4月に本格発動されたトランプ政権の「相互関税」政策は、日本のエネルギー分野にも広範な影響をあたえています。前回の第1回では、制度の背景や構造的リスク、太陽光・LNG・蓄電池といった主要分野への影響の全体像を整理しました。 本稿ではその続編として、実際に通商環境の変化を受けた企業・自治体の現場対応に焦点をあて、最新の実務動向と政策支援の現状を整理します。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年05月31日
【第1回】再選トランプ政権の関税政策とエネルギー分野への波紋
2025年4月、トランプ米大統領は「相互関税(Reciprocal Tariff)※1」政策を発動し、すべての輸入品に一律10%の関税を、さらに中国・日本などの貿易黒字国には最大35%の追加関税を課しました。 これは2018年の鉄鋼・アルミ関税措置を再構築するかたちで、保護主義的な政策姿勢を鮮明にしたものです。エネルギー関連機器もその対象に含まれており、日本側への影響も無視できない状況です。 とくに日本が重点を置いてきた再生可能エネルギー分野では、調達コストや供給網への影響が現れ始めています。 本稿では、こうした通商政策がもたらす構造的な変化とリスクについて、再エネを軸に読み解いていきます。 ※相互関税:米国製品に課されている関税と同水準の関税を相手国製品にも課すことで、貿易上の“公平性”や“対等性”を確保しようとする政策。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年03月17日
2025年開始の東京都による第四期間の排出権取引、非化石証書の利用可否や電力会社の排出係数反映など各種内容が変更
東京都では日本政府に先駆けて2010年から排出権取引を開始しており、2025年からは節目の第四期間となり、これまでの運用経験等から様々な変更が行われています。電力関連では、非化石証書の利用が可能となるほか、電力会社の排出係数が勘案される内容となっており、本記事では変更の大枠を見ていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年02月19日
2026年度から「成長志向型」カーボンプライシング開始の方針、排出権の市場取引を通じた脱炭素経営の抜本変化
日本においては2000年代から本格的に「カーボンプライシング」についての検討が進められてきましたが、2026年度からGXを基調とした新たな排出権取引が始まる方針です。これにより、脱炭素経営やビジネスが抜本的に変化する見込みとなり、本記事では現状の検討状況を整理しております。




















