経産省とNEDO、世界初となる「水素閣僚会議」を東京で開催、Tokyo Statement(東京宣言)発表
| 政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
一般社団法人エネルギー情報センター

10月23日、経済産業省及びNEDOの主催の下、世界で初めて閣僚レベルが水素社会の実現をメインテーマとして議論を交わす「水素閣僚会議」が東京において開催されました。その成果として「Tokyo Statement(東京宣言)」が示されました。
世界初の水素閣僚会議、300人以上が参加
温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定の発効を受け、脱炭素化への取組が世界中で進んでいます。そうした中、水素活用に対する期待が高まっており、日本においては2018年7月にとりまとめたエネルギー基本計画の中で、脱炭素化に向けた取組として水素活用を位置づけています。また、昨年12月には世界で初めての水素基本戦略を策定し、供給・利用両面の取組を一体的に進めています。
水素は、化石燃料と二酸化炭素回収・貯留、あるいは再エネなどのリソースを結びつけ、脱炭素化を実現するキーテクノロジーです。世界各国で水素利用に向けた様々な取組が進められています。日本においては、27万台を超える家庭用燃料電池、約2800台の燃料電池自動車が普及しており、水素ステーションは世界最多の100カ所が整備済みです。
今後、水素の利活用をグローバルな規模で推進していくためには、関係各国が歩調を合わせ一層連携していくことが重要です。このため、経済産業省及びNEDOの主催の下、10月23日に世界で初めて閣僚レベルが水素社会の実現をメインテーマとして議論を交わす「水素閣僚会議」が東京において開催されました。
今回の会議では、経済産業省の世耕経済産業大臣が議長を務め、21カ国・地域・機関より閣僚等が集まり、300人以上の水素に関連する企業・政府関係者及び研究者が参加しました(図1)。

図1 水素閣僚会議 集合写真 出典:経済産業省
「Tokyo Statement(東京宣言)」発表
当日の午前中は閣僚会合が開催され、世耕経済産業大臣による開会挨拶では、「エネルギー転換、脱炭素化に向けては、多くの選択肢があるが、水素こそが、新たなエネルギーの未来を切り開く鍵となると確信。」「水素を新たなエネルギーの選択肢とするためには、水素がビジネスとして自立できるマーケットが創出されることが必要不可欠。」といった旨を述べました。
閣僚会合では、国際的な水素社会実現に向けた課題や政策の方向性について議論が行われました。その成果として、技術のコラボレーションや国際共同調査の必要性など、各国の共通認識の下、世耕経済産業大臣より議長サマリーとして以下の4項目から成る「Tokyo Statement(東京宣言)」が示されました。水素エネルギー担当の各国大臣及び担当代表者は、これらの項目に関して協力する重要性を共有しました。
- 技術協力及び、規制、規格・基準のハーモナイゼーション、標準化の推進
- 水素の安全性及びサプライチェーンに関する情報共有及び国際共同研究開発の推進
- CO2及び他の汚染物質を削減する水素の可能性調査・評価
- コミュニケーション、教育及びアウトリーチ
その後、午後は民間セッションとして、民間・国際機関によるプレゼンテーションが行われました。Tokyo Statement(東京宣言)を踏まえ、IEAやIPHEなどの国際機関が世界の最新動向を解説するとともに、世界のリーダー企業が水素の利用拡大の道筋などについて講演しました。
ニュージーランドとの間で「水素に関する協力覚書」署名
世耕経済産業大臣は、今回の会議に参加したニュージーランドのビジネス・イノベーション・雇用省のミーガン・ウッズ大臣と、水素に関する協力を促進することを目的とする覚書(MOC)の署名を行いました。
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
| 企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
|---|---|
| 所在地 |
〒160-0022 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
| 電話番号 | 03-6411-0859 |
| 会社HP | http://eic-jp.org/ |
| サービス・メディア等 |
https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年06月29日
【第3回】再選トランプ政権の関税政策とエネルギー分野への波紋 〜素材・鉱物資源の安定確保とサプライチェーン強靭化を巡る論点〜
2025年4月、再選トランプ政権が発動した「相互関税(Reciprocal Tariff)」政策は、日本のエネルギー分野にも引き続き多方面の影響を及ぼしています。 第1回では制度発足の背景と太陽光・LNG・蓄電池への直接的影響を整理し、第2回では企業・自治体の現場対応と政府の制度支援の動向を追いました。本稿は最終回として、これまでの影響がさらに素材・鉱物資源というサプライチェーンの川上分野にどのように波及し、どのような実務課題を生んでいるのか整理します。エネルギー安全保障・経済安全保障双方の観点から、素材確保戦略がいよいよ重要局面に入りつつあります。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年06月26日
【第2回】再選トランプ政権の関税政策とエネルギー分野への波紋 〜日本企業・自治体の現場対応から読み解く実務課題と展望〜
2025年4月に本格発動されたトランプ政権の「相互関税」政策は、日本のエネルギー分野にも広範な影響をあたえています。前回の第1回では、制度の背景や構造的リスク、太陽光・LNG・蓄電池といった主要分野への影響の全体像を整理しました。 本稿ではその続編として、実際に通商環境の変化を受けた企業・自治体の現場対応に焦点をあて、最新の実務動向と政策支援の現状を整理します。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年05月31日
【第1回】再選トランプ政権の関税政策とエネルギー分野への波紋
2025年4月、トランプ米大統領は「相互関税(Reciprocal Tariff)※1」政策を発動し、すべての輸入品に一律10%の関税を、さらに中国・日本などの貿易黒字国には最大35%の追加関税を課しました。 これは2018年の鉄鋼・アルミ関税措置を再構築するかたちで、保護主義的な政策姿勢を鮮明にしたものです。エネルギー関連機器もその対象に含まれており、日本側への影響も無視できない状況です。 とくに日本が重点を置いてきた再生可能エネルギー分野では、調達コストや供給網への影響が現れ始めています。 本稿では、こうした通商政策がもたらす構造的な変化とリスクについて、再エネを軸に読み解いていきます。 ※相互関税:米国製品に課されている関税と同水準の関税を相手国製品にも課すことで、貿易上の“公平性”や“対等性”を確保しようとする政策。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年03月17日
2025年開始の東京都による第四期間の排出権取引、非化石証書の利用可否や電力会社の排出係数反映など各種内容が変更
東京都では日本政府に先駆けて2010年から排出権取引を開始しており、2025年からは節目の第四期間となり、これまでの運用経験等から様々な変更が行われています。電力関連では、非化石証書の利用が可能となるほか、電力会社の排出係数が勘案される内容となっており、本記事では変更の大枠を見ていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年02月19日
2026年度から「成長志向型」カーボンプライシング開始の方針、排出権の市場取引を通じた脱炭素経営の抜本変化
日本においては2000年代から本格的に「カーボンプライシング」についての検討が進められてきましたが、2026年度からGXを基調とした新たな排出権取引が始まる方針です。これにより、脱炭素経営やビジネスが抜本的に変化する見込みとなり、本記事では現状の検討状況を整理しております。




















