世界初、山口県に竹専焼のバイオマス発電を開設、出力規模は約2MW
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10月18日、藤崎電機は世界初となる竹を燃料として専焼するバイオマス発電所の起工式を執り行ったと発表しました。山口県山陽小野田市にて開設されるこの発電所は、出力規模は約2MW、山陽小野田バンブーバイオマス発電所と名付けられました。
世界初、竹を燃料として専焼するバイオマス発電所
竹は日本では古来より、食用や日用雑貨、建材等に多く使われていました。しかし、近年、中国産の竹の増加やプラスチック製への移行により竹の需要が激減し、その結果各地の竹林が放置されるようになりました。
竹は成長力が非常に強く、そこに生育する樹木の健全な成長を阻害させ、枯死させることもあります。他の樹木や生物多様性への影響が大きいので、放置竹林の拡大防止と、伐採した竹を資源として有効活用することが重要な課題となっています。
竹は日本全土に広がっており、特に西日本を中心に放置竹林が問題視されています。そのため、竹のバイオマス発電利用については、2017年3月に日立製作所が新技術を開発したと発表するなど、各方面にて注目が集まっています。[関連記事]
こうした中、藤崎電機は世界初となる竹を燃料として専焼するバイオマス発電所の起工式を執り行ったと発表しました(図1)。山口県山陽小野田市にて開設されるこの発電所は、出力規模は約2MW、山陽小野田バンブーバイオマス発電所と名付けられました。

図1 起工式、集合写真 出典:藤崎電機
地域経済効果は推定89億円、地域活性化に
山陽小野田バンブーバイオマス発電所の想定年間発電量は約1580万キロワット時となり、一般家庭に換算すると約4860世帯の年間電力使用量に相当します。CO2に関しては、年間約8223トンの排出削減効果が見込まれています。
発電所の投資額は約23億7千万円、FIT法に基づく売電期間20年では、地域経済効果が89億円と推定されており、地元雇用も含め地方創生にも繋がることが期待されます。
藤崎電機によると、山口県山陽小野田市は、山口県が林野庁から委託を受けて竹の伐採・チップ化・燃焼する実証事業(平成25~27年度)を日本で唯一行っていたこと、竹の供給体制が確立しやすい条件が整っていたことなどが、建設に至った理由としています。
2013年から検討開始、ドイツのランビォン社と協力して開発
藤崎電機は、2013年より竹の有効活用方法としてバイオマス発電所での燃料利用を検討しています。2014年上旬よりバイオマス発電所の実績と経験が豊富な企業を調査し、2015年6月にドイツのランビォン社と正式契約に至りました。ランビォン社は、1890年創立、バイオマス発電所の設計製造販売を手掛けており、世界90カ国以上での実績を有しています。
藤崎電機によると、2014年6月には竹サンプルをドイツに送り成分分析、ランビォン社が検討を重ねました。そして2015年5月にドイツハンブルグで燃焼実験を行うことに決定、その試験の成功により2015年6に「バンブ-バイオマス発電装置の共同開発、OEM製造、アジアエリアでの独占販売」の契約を作成することとなりました。その後調印を行い、7月23日に山口県庁での立地協定調印を行うこととなりました。
バイオマスに向かない竹の利用、燃焼炉の開発などで対応
竹は杉やヒノキと違い、①竹の中が空洞であることから輸送効率が悪い、②チップ化することにより乳酸発酵する性質があるためにストックが難しい、③カリウム・二酸化ケイ素等によって燃焼炉が傷みやすいなどの問題を抱えています。
しかし、藤崎電機のグループ会社で、今回の事業に参画するガイアパワーによると、これらの問題を解決し、竹の育成、タケノコの販売、竹材の燃料化による発電という循環型エコシステムの構築を実現化しつつあるとしています。例えば、炉の課題は、前述のようにランビォン社との共同開発により、世界初の竹の燃焼炉を開発しこの問題を解決しています。
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