法人向け 家庭向け

原油・天然ガス価格の見通し、日本の原油輸入価格は2040年に125ドル/バレル想定

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

原油・天然ガス価格の見通し、日本の原油輸入価格は2040年に125ドル/バレル想定の写真

4月3日、中国電力は将来の原油・天然ガス価格見通しについて、日米欧の代表的な3つの調査機関のデータをまとめた資料を発表しました。2040年までの長期予測について、各団体のデータをまとめた内容となります。

原油価格、EIA、IEA、IEEJによる2040年までの見通し

原油価格は、世界最大のエネルギー源である原油価格だけではなく、アジア等では天然ガス価格の指標になっています。そうしたこともあり、原油価格は世界のエネルギー需給バランスや、世界経済、技術革新、そして燃料費調整単価や発電コストなどに大きな影響を及ぼします。

原油価格は2011年前半~2014年中盤まで、概ね100ドル/バレルで推移していましたが、2014年後半以降は、供給過剰に伴う需給緩和を背景に下落し、足元は50ドル台で推移しています。まずはこの原油価格について、EIA、IEA、IEEJという日米欧の代表的な3つの調査機関が予測する2040年までのデータを見ていきます。

EIAにおける原油価格の見通し

EIA(米国エネルギー情報局)は、米国エネルギー省のエネルギーに関する情報収集と分析を専門に行う組織です。その機関による原油価格(Brent)見通しですが、レファレンスケース、高価格ケース、低価格ケースに加え、技術革新による生産拡大を想定した高資源量ケースなどの8つのケースで分析されています。各ケースにより価格の幅があり、2040年時点で43~226ドル/バレルになるとの見通しを示しています。

レファレンスケース(現状の趨勢で推移するとして見積もられたケース)では、2020年には75ドル、2030年には95ドル、2040 年には109ドルまで上昇すると見込まれています(図1)。価格上昇の理由としては、需要拡大に対応するため、OPEC諸国の生産拡大に加えて、生産コストが高い非OPEC諸国の生産拡大が必要とされているからです。

EIAの原油価格見通し

図1 EIAの原油価格見通し 出典:中国電力

IEAにおける原油価格の見通し

IEA(国際エネルギー機関)はOECD加盟国を中心に、エネルギー安全保障を確立することを目的として第1次オイルショック後の1974年に設立された組織です。IEAは、IEA加盟国の平均輸入価格について分析しています。現行政策シナリオ、新政策シナリオ、450シナリオというケースに分けて分析しており、2040年時点で78~146ドル/バレルになるとの見通しを示しています。

中心シナリオである新政策シナリオでは、需要は拡大し続けるため生産コストが高い地域での生産が必要となり、2020年には79ドル、2040年には124ドルまで上昇するとされています(図2)。

IEAの原油価格見通し

図2 IEAの原油価格見通し 出典:中国電力

IEEJにおける原油価格の見通し

IEEJ(日本エネルギー経済研究所)は日本を代表するエネルギー分析・調査機関です。IEEJは、日本向けのCIF価格(船積み価格に輸送コストと保険料を加算した輸入価格)について分析しており、2040年時点で125ドル/バレルになるとの見通しを示しています。

レファレンスケースでは、生産コストの高い中小規模、極地、大水深油田等へのシフトによる限界費用の上昇が見込まれ、投機・投資資金による価格押し上げの発生も否定できないとしています。そのため、2020年には75ドル、2040年には125ドルまで上昇するとしています(図3)。

IEEJの原油価格見通し

図3 IEEJの原油価格見通し 出典:中国電力

天然ガス価格、EIA、IEA、IEEJによる2040年までの予測

天然ガスは世界的な指標価格が存在せず、日本・米国・欧州で価格決定方式が異なります。日本のLNG輸入価格は原油輸入価格にリンクしています。ガス市場の自由化が進んでいる米国や英国では、国内の天然ガス取引地点での需給により価格が決定されており、地域間で価格差が生じています。

原油に引き続き、天然ガスの価格について、EIA、IEA、IEEJという日米欧の代表的な3つの調査機関が予測する2040年までのデータを見ていきます。

EIAにおける天然ガス価格の見通し

EIA は、ヘンリーハブ価格(米国内の天然ガス取引基準価格)について分析しており、2040年時点で3.4~9.8ドル/百万Btuになるとの見通しを示しています。レファレンスケースでは、米国内外の需要が拡大することで、長期的には生産コストが高い地域での生産が必要となるため、2040 年には5.1ドルまで上昇するとしています(図4)。

EIAの天然ガス価格見通し

図4 EIAの天然ガス価格見通し 出典:中国電力

IEAにおける天然ガス価格の見通し

IEAは、米国のヘンリーハブ価格と、日本と欧州の平均輸入価格について、原油と同様に現行政策シナリオ、新政策シナリオ、450シナリオの3つのシナリオで分析しています。その分析によると、2040年時点で日本の場合は10.9~14.4ドル/百万Btu、欧州で9.9~13.0ドル/百万Btu、米国は5.4~7.9 ドル/百万 Btu になっています。

また、中心シナリオとなる新政策シナリオでは、日本のケースでは2040年に12.4ドル/百万Btuとなっています(図5)。

IEAの天然ガス価格見通し

図5 IEAの天然ガス価格見通し 出典:中国電力

IEEJにおける天然ガス価格の見通し

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

統計情報

統計情報(Excel含)

エネルギー関連の統計情報をExcel等にてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 〒160-0022
東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年06月29日

新電力ネット運営事務局

【第3回】再選トランプ政権の関税政策とエネルギー分野への波紋 〜素材・鉱物資源の安定確保とサプライチェーン強靭化を巡る論点〜

2025年4月、再選トランプ政権が発動した「相互関税(Reciprocal Tariff)」政策は、日本のエネルギー分野にも引き続き多方面の影響を及ぼしています。 第1回では制度発足の背景と太陽光・LNG・蓄電池への直接的影響を整理し、第2回では企業・自治体の現場対応と政府の制度支援の動向を追いました。本稿は最終回として、これまでの影響がさらに素材・鉱物資源というサプライチェーンの川上分野にどのように波及し、どのような実務課題を生んでいるのか整理します。エネルギー安全保障・経済安全保障双方の観点から、素材確保戦略がいよいよ重要局面に入りつつあります。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年06月26日

新電力ネット運営事務局

【第2回】再選トランプ政権の関税政策とエネルギー分野への波紋 〜日本企業・自治体の現場対応から読み解く実務課題と展望〜

2025年4月に本格発動されたトランプ政権の「相互関税」政策は、日本のエネルギー分野にも広範な影響をあたえています。前回の第1回では、制度の背景や構造的リスク、太陽光・LNG・蓄電池といった主要分野への影響の全体像を整理しました。 本稿ではその続編として、実際に通商環境の変化を受けた企業・自治体の現場対応に焦点をあて、最新の実務動向と政策支援の現状を整理します。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年05月31日

新電力ネット運営事務局

【第1回】再選トランプ政権の関税政策とエネルギー分野への波紋

2025年4月、トランプ米大統領は「相互関税(Reciprocal Tariff)※1」政策を発動し、すべての輸入品に一律10%の関税を、さらに中国・日本などの貿易黒字国には最大35%の追加関税を課しました。 これは2018年の鉄鋼・アルミ関税措置を再構築するかたちで、保護主義的な政策姿勢を鮮明にしたものです。エネルギー関連機器もその対象に含まれており、日本側への影響も無視できない状況です。 とくに日本が重点を置いてきた再生可能エネルギー分野では、調達コストや供給網への影響が現れ始めています。 本稿では、こうした通商政策がもたらす構造的な変化とリスクについて、再エネを軸に読み解いていきます。 ※相互関税:米国製品に課されている関税と同水準の関税を相手国製品にも課すことで、貿易上の“公平性”や“対等性”を確保しようとする政策。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年03月17日

新電力ネット運営事務局

2025年開始の東京都による第四期間の排出権取引、非化石証書の利用可否や電力会社の排出係数反映など各種内容が変更

東京都では日本政府に先駆けて2010年から排出権取引を開始しており、2025年からは節目の第四期間となり、これまでの運用経験等から様々な変更が行われています。電力関連では、非化石証書の利用が可能となるほか、電力会社の排出係数が勘案される内容となっており、本記事では変更の大枠を見ていきます。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年02月19日

新電力ネット運営事務局

2026年度から「成長志向型」カーボンプライシング開始の方針、排出権の市場取引を通じた脱炭素経営の抜本変化

日本においては2000年代から本格的に「カーボンプライシング」についての検討が進められてきましたが、2026年度からGXを基調とした新たな排出権取引が始まる方針です。これにより、脱炭素経営やビジネスが抜本的に変化する見込みとなり、本記事では現状の検討状況を整理しております。