法人向け 家庭向け

【太陽光発電】再利用・リサイクルの新会社、FIT終了後の大量廃棄に向け

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

【太陽光発電】再利用・リサイクルの新会社、FIT終了後の大量廃棄に向けの写真

使用済みの太陽光発電を再利用・リサイクルする企業「アールツーソリューション」(東京・中央)が、3月1日に設立されました。今後、規模の大きくなる太陽光発電の廃棄量に着眼し、再利用とリサイクル、廃棄物処理を組み合わせたビジネスとして展開します。

廃棄された太陽光パネルを再利用・リサイクルする新会社誕生

「アールツーソリューション」の設立には、太陽光パネル再利用のネクストエナジー・アンド・リソース(長野県)、リサイクルのリサイクルテック・ジャパン(愛知県)、廃棄物処理の市川環境エンジニアリング(千葉県)、破砕機メーカーの近畿工業(兵庫県)が出資しています。

アールツーソリューションによるビジネスフロー

太陽光パネルは、老朽化したものに加え、災害で破損したものなど幅広く全国から受け入れる形となります。それらを検査し、再利用が可能な場合は販売します。再利用が不可能な状態であった場合、太陽光パネル専用の設備で分解、アルミや銀などを素材ごとに取り出しリサイクルします。

出資している企業の内、ネクストエナジー・アンド・リソース社は既に中古太陽光パネルの再利用ビジネスを展開していますが、再利用できない場合はリサイクル業者に引き渡していました。今回設立された「アールツーソリューション」では、再利用・リサイクルを一括して実施することが可能となっています。

廃棄太陽光パネルビジネスの市場規模

太陽光パネルの廃棄量

太陽光パネルの廃棄量は現在、年間約2400トンとみられていますが、環境省の試算によると、2040年には年間約80万トンと300倍以上の規模に成長する見込みです。今後、10~20年間の固定価格買取制度(FIT)の適用対象外となった段階で、急激に廃棄量が増加する想定となっています

太陽光発電の廃棄量推移

出典:環境省

今後、大量の太陽光パネルが廃棄されると想定される一方で、現在はまだまだ市場の規模が小さいです。以下では、廃棄物太陽光ビジネスの「再利用」と「リサイクル」の現状と今後を見ていきたいと思います。

再利用ビジネス

国内向け再利用ビジネス

再利用の国内向けは販売先が現状で少なく、リサイクルの実証試験や性能評価、自然劣化等の研究用途、一般家庭向けのオフグリッドソーラーなどと限定されます。また、メンテナンスのための機材のイニシャルコストが高いため(図1)、一定量の需要と供給が見込めない限り機材への設備投資は難しく、新規参入のハードルは高いと思われます。そのため活動をしている企業は、昨年上旬時点では日本国内で1社ほどとなります。海外においても、ドイツなどにおいて少数の事例が見られますが、まだまだ市場は大きくないといえます。

太陽光発電のメンテナンスに必要なコスト

図1 メンテナンスのイニシャルコスト 出典:環境省

国内向け再利用ビジネスの市場はまだまだ小さいですが、今後はパネルの廃棄量も増え資材調達が容易になり事業を後押しします。また、適切な保証の付与と需要に合った販路拡大ができれば、市場が拡大する可能性はあると考えられます。

太陽光パネルリユースの販売先

出典:環境省

海外輸出向け再利用ビジネス

海外輸出向けの再利用ビジネスの場合、現状で一定規模のビジネスを展開している企業は、昨年上旬時点では3社ほどとなり、国内向けよりも市場規模は大きいといえます。主に、系統連携ではなく、独立電源として使用されることが多いです。メンテナンスを海外で実施することで、コストの低減も可能となりますが、主要な市場である東南アジアも徐々に中古品から新品へとニーズが移行する可能性があります。

太陽光パネルの海外向けリユース市場

出典:環境省

メンテナンス向け再利用ビジネス

メンテナンス向けの再利用ビジネスは、今後需要が高まると考えられます。太陽光発電の急速な導入拡大により、メンテナンスの頻度が高まると考えられるからです。例えば、メンテナンスの際に破損が見つかり修復のため部品が必要となった際、新品ではなくリユース品を提供するといったビジネスモデルも考えられます。

太陽光パネルのメンテナンス向けリユース方法

出典:環境省

リサイクル

リサイクルに関しては、主に5つのルート(太陽光発電設備メーカー、建物解体業者、ゼネコン・建設事業者、施工業者、リユース業者)から廃棄された太陽光パネルを分解し、ビジネスとして展開している企業が一定数存在します。パネルに含まれる銀の含有量でリサイクルした際の採算性も異なり、銀の含有量が多いパネルを廃棄する事業者の場合、リサイクル業者に売却することが可能となります。逆に、銀の含有量が少ない場合は、有料でリサイクル業者に引き取ってもらう形が一般的です。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

統計情報

統計情報(Excel含)

エネルギー関連の統計情報をExcel等にてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 〒160-0022
東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年03月23日

新電力ネット運営事務局

政府も注目する次世代エネルギー、核融合の仕組みと可能性 【第1回】核融合“超入門” 地上に「小さな太陽」をつくる挑戦

地上に“小さな太陽”をつくる、そんな壮大な計画が世界各地で進んでいます。 核融合とは、太陽の内部で起きているように、軽い原子が結びついてエネルギーを生み出す反応のことです。燃料は海水から取り出せる水素の一種で、CO₂をほとんど出さず、石油や天然ガスよりもはるかに効率的にエネルギーを取り出すことができます。 かつては「夢の発電」と呼ばれてきましたが、近年は技術の進歩により、研究段階から実用化を見据える段階へと進化しています。 2025年6月当時は、高市早苗経済安全保障担当大臣のもと、政府が核融合推進を本格的に強化しました。 同月に改定された「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」では、研究開発から産業化までを一貫して支援する体制が打ち出されています。 今回はその第1回として、核融合の基本的な仕組みや核分裂との違い、主要な研究方式をわかりやすく解説します。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年10月31日

新電力ネット運営事務局

日本発!次世代ペロブスカイト太陽電池:フレキシブル発電が都市を変える 実装課題と産業戦略【第3回】社会実装シナリオと市場インパクト — 建築外皮・街路インフラ・モビリティ等の導入像/系統・蓄電(BESS)との組み合わせ/エネ安保・脱炭素効果の定量化と政策提言

第一回ではペロブスカイト太陽電池の特性と政策背景を、第二回では実装課題・量産・標準化の現状をお伝えしました。 最終回となる本稿では、社会実装の具体像を描きます。建築外皮、街路インフラ、モビリティといった“都市空間そのもの”に発電機能を組み込むシナリオを軸に、系統・蓄電(BESS)との統合運用や、エネルギー安全保障・脱炭素への貢献を数値的な側面から読み解きます。 さらに、制度設計・金融支援・標準化の動向を踏まえ、日本が形成しつつある「都市型エネルギーエコシステム」​​の全体像を明らかにします。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年10月29日

新電力ネット運営事務局

日本発!次世代ペロブスカイト太陽電池:フレキシブル発電が都市を変える 実装課題と産業戦略【第2回】 — 耐久性・封止・量産(ロールtoロール、封止樹脂の要諦)/コスト学習曲線と標準化(NEDO等)/素材・装置のサプライチェーン再構築

前編では、ペロブスカイト太陽電池の特性と政策的背景、そして中国・欧州を中心とした世界動向を整理しました。 中編となる今回は、社会実装の要となる耐久性・封止・量産プロセスを中心に、産業戦略の現在地を掘り下げます。ペロブスカイト太陽電池が“都市インフラとしての電源”へ進化するために、どのような技術と制度基盤が求められているのかを整理します。特に日本が得意とする材料科学と製造装置技術の融合が、世界的な量産競争の中でどのように差別化を生み出しているのかを探ります。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年10月27日

新電力ネット運営事務局

中小企業が入れるRE100/CDP/SBTの互換ともいえるエコアクション21、GHGプロトコルに準じた「アドバンスト」を策定

GHGプロトコルに準じた「エコアクション21アドバンスト」が2026年度から開始される見込みです。アドバンストを利用する企業は電力会社の排出係数も加味して環境経営を推進しやすくなるほか、各電力会社側にとっても、環境配慮の経営やプランのマーケティングの幅が広がることが期待されます。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年10月18日

新電力ネット運営事務局

日本発!次世代ペロブスカイト太陽電池:フレキシブル発電が都市を変える 【第1回】背景と技術概要 — 何が新しいか/政策・投資の全体像/海外動向との比較

本記事は、2024年公開の「ペロブスカイト太陽電池の特徴とメリット」「ペロブスカイト太陽電池の課題解決と今後の展望」に続く新シリーズです。 耐久性や鉛処理、効率安定化といった技術課題を克服し、いよいよ実装段階に入ったペロブスカイト太陽電池。その社会的インパクトと都市エネルギーへの応用を、全3回にわたって取り上げます。